東京・池袋の路地裏に灯をともし続ける1988年創業の「プリック」。
オーナーは最盛期には新宿・池袋でタイ料理店8店舗を展開するも、バブル崩壊で1億円の負債を抱えることに。それから21年間かけてすべて完済し、いまなお店を守り続けています。

池袋の路地裏に「プリック」がオープンしたのは30年以上前の1988年のこと。きっかけは偶然のことでした。当時新宿などで複数のタイ料理店を経営していたオーナーが仕事の帰り道に『空き物件』と書いてある張り紙を見て不動産業者に連絡、即決したと言います。「その頃、池袋にはまだタイ料理店はなくて、お客さんも全部タイの人だった」とか。そんなある日、作家の田中康夫さんが雑誌のコラムで紹介したのを機に口コミが広がり、店は一気にブレイクします。バブルの最盛期には新宿4店舗・池袋4店舗、合計8店舗を展開し、人材は東京のタイ・ラオス系コミュニティのネットワークでまかないました。「とにかく人手が足りないから従兄弟や親戚まで呼びました」。しかしバブル崩壊で苦境に陥ることに。繁盛していた店を閉めても支払いは追いつきません。みるみるうちに借金は1億円に。旅行添乗員など複数の仕事を掛け持ちし、21年かけて無事借金を完済することができたのだそう。現在のシェフも、かつて新宿の店で鍋を振っていた人で、その家族もスタッフとして働いています。「今日厨房で料理をしている女性の旦那さんもシェフなんですが、とにかく辛いのが好きで放っておくとどんどん辛く作っちゃう。それを私が『日本人はそんなに辛いのは食べられないから』って抑えてるんです。大切なのは辛いイメージの料理でも、特徴は残しながらなるべく食べやすくすること。もちろんリクエストがあればいくらでも辛くします(笑)」。本格的なタイ料理を用意しながら、客に合わせて柔軟に展開する。そんな姿勢がディープなタイ料理好きから初心者まで幅広い客層の取り込みにつながっています。


取材店:プリック
東京都豊島区池袋2-62-6 第三栄寿マンション1F
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13002877/

