タイは、東南アジアの中で急速に成長した主要国の一つで、注目度の高い国です。首都バンコクには高層ビルや近代的なショッピングモールが建ち並び、プーケットやチェンマイ、パタヤなど外国人観光客でにぎわうエリアが混在します。
そのようなタイの消費活動は、若年層から高齢層までスマートフォンが中心になっている傾向です。スマートフォンが浸透している環境では、多様なマーケティングの手法が展開できる可能性があります。
ここでは、タイの文化や言語、国民性など現地の特徴を押さえながら、現地に即したマーケティングのアプローチ戦略を解説します。
タイのマーケティング戦略の基礎知識
タイは東南アジアの中心に位置して、ASEAN諸国の貿易や観光の要所として知られています。人口は約7,100万人とされており、人口の約55％がバンコクや、チェンマイ、プーケットなどの主要都市部に集中しています。
バンコクや近郊のエリアは経済活動の中心として機能しており、日系企業をはじめとする外国企業の進出が続いている状況です。また、国際的な観光地として有名なタイには、世界各国から外国人観光客が訪れて、タイ経済に貢献しています。
このように、タイはASEAN経済の要所と観光という2つの要因があるため、多方面でビジネスチャンスが存在しています。
現在、タイではデジタル化が進み、SNSの活用が消費者の行動に大きな影響を及ぼしています。さらに、中間所得層の増加により購買力が向上しており、輸入品や高級ブランドへの需要が顕著に高まっているため、多くの国際的なブランドも参入しています。
タイ人の消費者行動パターン
タイの消費者は価格への関心は高いものの、品質やブランドの価値も重視する傾向があります。また、インターネットの普及率は77％に達しており、スマートフォンの使用率は80％を超えています。
その中で、若年層はデジタルに精通しているため、SNSやEコマースを活用した購買活動が一般的です。
さらに、タイの旧正月の「ソンクラーン」や灯篭流しの「ロイクラトン」などの伝統行事以外に、「クリスマス」や「バレンタイン」など、外国の習慣に基づくさまざまなキャンペーンも行われ、関連する商品が販売されています。
タイのマーケティングのトレンド
タイでは若年層を中心にデジタルマーケティングが普及しており、TikTokやInstagramを活用したキャンペーンが成功しています。
2022年の調査では、TikTokの利用者数が3,500万人を超えて、広告キャンペーンではSNSを上回る結果を示したとのことです。
日本と異なるタイのマーケット
タイのマーケットは国の規制や市場規模、国民性などが日本とは大きく異なります。ここでは、日本とのマーケティングの違いについて解説します。
市場規模と競争環境
タイのマーケットは日本と比べて規模は小さいものの、競争の厳しさは同じで、中間所得層向けの商品やサービスは、現地企業と外資企業が厳しい競争を続けています。
食品業界ではタイブランドが品質と価格競争で市場をリードしていますが、国際ブランドも独自性とブランド力で参入しています。
規制と習慣の違い
タイの広告規制は比較的緩やかですが、消費者保護法や製品ラベル表示の規定には注意が必要です。
また、タイのビジネスには特有の「緩やかな」文化があります。ビジネスに成功するには信頼を築くのが成功の鍵になるので、現地の商習慣を理解した柔軟な対応が大切です。
消費者行動の違い
タイの消費者は口コミやレビューの結果を重視する傾向があります。特に、SNSの評価は購買行動に大きな影響を与えるでしょう。
また、プロモーションが盛んで、2つ購入すれば1つ無料などのキャンペーンへの関心が高く、宗教や伝統行事に合わせたキャンペーンも人気です。
参考URL1: https://www.digima-japan.com/knowhow/thailand/expert-southpoint-00007.php
参考URL2: https://www.worldometers.info/demographics/thailand-demographics/
タイで成功するマーケティング
人口の増加が続く東南アジアの中で、タイは日本と同じように人口の増加が頭打ちになっており、今後は緩やかに減少していくと考えられています。平均年齢は40歳ほどで、高齢化が始まりつつあります。
これまで著しい経済成長を遂げてきたものの、人口の増加が頭打ちになったことで、2010年以降は失速状況にあります。さらに、世界の国を襲ったコロナのパンデミックにより、基幹産業の観光業が大きな打撃を受けて、現状維持になる公算が高くなっています。
このような状況の中、高い貧困率が社会問題化していますが、都市部を中心に中間所得者層が増えてタイの経済を支える屋台骨として機能しています。このことから、タイのマーケティング戦略は購買力のある都市部の中間所得層以上にターゲットを絞ることが効果的です。
加えて、タイの国民の約90％は仏教を信仰しています。人種の大半はタイ族や中華系で、加えて少数のインド系、マレー系で構成される国家で、主要言語はタイ語がメインです。
このような背景は日本と似ているため、日本のマーケティングが通じやすい点では、ほかの東南アジア諸国より日本企業の進出に向いているといえます。加えて、タイは世界有数の親日国であり、日本のアニメや製品、食品などに強い興味を持つ国民が多いため、海外進出を検討している企業にとってタイは絶好の国です。そこで、日本企業がタイで有効なマーケティングの手法をご紹介します。
タイで友好的なマーケティング
屋外広告の活用
タイの幹線道路脇やビルなどには大きな看板が掛けられています。ショッピングモールや駅などには液晶ディスプレイやLEDディスプレイなどのデジタルサイネージが設置されており、動画や音声で情報を発信しています。
このように、タイでは屋外広告がマーケティングの手法としては大きなシェアを占めている状況です。2020年のパンデミック時には、前年対比約80％の約34,000万ドルと大きく落ち込みましたが、その後は持ち直して、2025年度では53,260万ドルと約1.5倍まで増加する見込みです。
SNSプロモーション
タイのSNSではFacebookがもっとも多く利用されおり、2023年時点ではユーザー数は約5,100万人に達しています。また、InstagramとTikTokも急成長を遂げています。これらを活用した若年層ターゲットのキャンペーンで、高い成果を挙げています。
イベントマーケティング
楽しいイベントが大好きなタイ人にとって、クリスマスやバレンタイン、伝統的なソンクラーンには、イベントに合わせた関連商品の消費が促進されます。これらのイベントに合わせたプロモーションは絶好の機会です。
インフルエンサーマーケティング
タイではKOL（Key Opinion Leader）と呼ばれるインフルエンサーが大きな影響力を持っています。ファッション、美容、ライフスタイルなどの分野では、フォロワー数が数十万から数百万規模のKOLが活躍しており、商品の売り上げに直結するプロモーションを展開しています。
モバイルマーケティング
タイではスマートフォンの普及が80％を超えているため、モバイルインターネットは主要な通信手段です。そのため、SNSやモバイルアプリを活用したマーケティングは消費者と直接つながる有効な手段です。
このように、タイの市場で成功するには、楽しく便利で新しいものが好きなタイ人の気質、伝統文化や慣習をしっかり守る保守性などを理解して、これらに基づいたマーケティング戦略を展開することが大切です。
参考URL：https://www.thedigitalx.net/blog/thailand-marketing
弊社がご支援するマーケティングのポイント
タイで活用されているマーケティングをご紹介してきました。しかし、一般的なマーケティングでのプロモーションや調査では、タイに会社を設立したり輸出したりしても、「現地の人に受け入れられるのだろうか」と不安になるのではないでしょうか。
そのようなときには、タイの消費者のリアルの声を聞くことができれば、より安心してタイ進出ができます。
弊社は、半世紀タイと日本をつないできた実績をもとに、タイ支社と連携してさまざまな形でタイの市場を調査することが可能です。ここでは、弊社が実施するサービス内容をご紹介します。
弊社が提供するサービス
1.アンケート調査とプロモーション
弊社の、タイ人フォロワー約50万人を有するFacebookアカウント「Fan Japan Fun」でアンケートを実施して、その結果をご報告するサービスです。
このサービスで、タイ人の購買方法や購買動機などを調査できます。さらに、SNSで情報を発信して、商品やサービスを知ってもらうことで、購入や利用のきっかけをつくることができます。
2.サンプリング
タイ人のお客様に実際に商品を試してもらい、アンケートを取り、その調査結果をご報告いたします。
このサービスは、直接商品を試してもらうことで購買意欲を高めるとともに、口コミによる拡散を狙うことができます。
3.グループインタビュー
お客様の商品やサービスの対象となる顧客を集めて、インタビュー形式でヒアリングを行い、結果をご報告するサービスです。
このサービスで、参加者同士の意見交換を通じて企業の商品やサービス、店舗に対しての意見や本音を引き出すことで、新商品開発や広告の評価などに活用します。
4.覆面調査
お客様企業の店舗やサービスを告知なく訪問して、依頼内容の調査を行い、結果をご報告するサービスです。
このサービスでは、商品やサービスの品質、店舗の接客や清潔さなどを客観的に評価して、サービス改善・顧客満足度向上のための報告を行います。アンケートやテストマーケティングを行うことで、現地での販売促進や広告の評価、店舗の改善などに対する効果が期待できます。
参考URL：https://allied-thai.co.jp/business/ad/marketresearch
まとめ
タイ市場は多くのビジネスチャンスを秘めています。一方で、ビジネスで成功するにはタイ特有の文化や宗教行事に影響を受けている消費者の行動や購買意欲を理解して、適切なマーケティングを展開することが必要です。
そのためには、現地の情報収集とターゲットの分析から始めるのが成功のポイントです。その上で、現地に即した屋外広告やSNSマーケティング、イベントプロモーションなど、効率的で友好的な戦略でタイ市場でのビジネスを加速させましょう。