タイでの日本食の傾向は?
日本からタイへの農産物・食品の輸出額は、2024年時点で約629億円で、前年対比約22.9%の増加となっています。
また、JETROバンコク事務所の調査では、タイの日本食レストランの数は5,916店確認されており、前年対比2.9%の増加を見せました。
さらに、近年訪日タイ人の数が増えており、日本に来た際の経験によって、タイ人の日本製品や日本食への関心が高まっています。このように、日本食を欲するタイ人が増加傾向にあることを踏まえて、日本食のタイへの輸出は増加すると考えられるでしょう。
日本からタイへの輸出状況
2024年の日本からタイへの農水産物輸出額は、農産物全体としては306億円でした。
内訳は加工食品116億円、畜産品96億円、穀物等22億円、野菜・果実等31億円、その他農産物41億円です。
水産物は調整品以外の水産物287億円、水産調整品25億円となっています。
また、2024年の農水産物の上位10品目は、かつお・まぐろ類、いわし、ホタテ貝、牛肉、豚の皮、ソース調合調味料、さば、さけ・ます、アルコール飲料、真珠です。
飲食の業種別トレンド
レストラン
2025年の外食産業(レストラン)の市場規模は、購買力の低下や経済力の穏やかな成長により前年対比3%の拡大で、約2兆5,290億円と予測されています。
2024年タイのエリア別日本食レストランの数
バンコク都2,672店(前年対比102.7%)
バンコク近郊5県873店(前年対比102.7%)
そのほかのエリア2,672店(前年対比103.1%)
タイ全体5,916店(前年対比102.8%)
増減数:増加1,009店・減少844店
主な業種別日本食レストランの数
総合和食1,439店(前年対比106.2%)
寿司店1,279店(前年対比93.2%)
ラーメン店802店(前年対比108.3%)
居酒屋480店(前年対比109.8%)
すき/しゃぶ店448店(前年対比98.9%)
このように、日本所レストランの数は増加傾向にありますが、店舗数の増減率が示すとおり、前年から約14.2%の店舗が減少しています。
小売店
タイで日本食を扱う小売店はたくさん存在します。ここでは、主な小売店の種類と日本食の品ぞろえ、客層をご紹介します。
日系百貨店、日系スーパーマーケット
品ぞろえ:日本のスーパーマーケットとほぼ同様の品そろえ
主な客層:在タイ日本人、タイ人富裕層・上流層
現地百貨店、高級スーパーマーケット
品ぞろえ:店舗によっては日本食のコーナーがある
主な客層:在タイ日本人、タイ富裕層・上流層、観光客
ハイパーマーケット
品ぞろえ:一部の日本製菓子、調味料の取り扱いがある
主な客層:タイ人上中流層・上流層
コンビニ
品ぞろえ:一部の菓子、調味料の取り扱いがある
主な客層:全所得層
市場
品ぞろえ:取り扱いはほぼなし
主な客層:中層、低所得者
フードデリバリー
タイは外食の文化が定着していましたが、パンデミックの影響で外食が制限されたため、スマートフォンを利用したGrabやLINE MANなどのフードデリバリーが普及しました。
2024年の市場規模は、約5,794億円と前年対比6%拡大しており、2030年までには1兆4,487億円程度に成長することが見込まれています。
EC市場
2024年のタイ国内のEC市場規模は約3兆7,666億円で、前年より19%成長して、2030年までには約8兆6,922億円まで成長することが見込まれています。
このように、今後はフードデリバリーとEC市場の拡大が見込まれていますが、これらのマーケットに対応する日本食を選択することが、輸出の拡大につながると考えられます。
参考URL:https://www.jetro.go.jp/ext_images/agriportal/platform/th/pf_th.pdf
タイにどうやって進出するの?
タイへ初めて輸出する際には、どんな手続きがあるのか戸惑う方もいらっしゃるのではないでしょうか。輸出は必要な書類はもちろん、日本からの輸出と、タイへの輸入の規制を理解していれば、それほど難しいことではありません。
ここではタイへの輸出を検討している方に向けて、輸出の知識を順を追って詳しく解説します。
バイヤーとの商談
タイでの販路開拓には、タイ側のバイヤーとの商談が効果的です。バイヤーは卸売業や小売業、飲食業など輸出する商品によって商談先が異なります。
商談内容は自社の商品を売り込むのが第一優先ですが、輸出形態も重要です。
主な輸出形態
・日本の倉庫に商品を納品して、到着後は取引先に任せる。
・タイまでは自社が輸出をして、到着後は取引先に任せる。
・自社の輸出業者を使い取引先まで納品する。
このように、さまざまな輸出形態があるので、タイの輸入・卸売業者が決まっていない場合は商談にならないケースがあります。
バイヤーと商談する際は、輸出方法によって商談相手を選定することが重要です。
タイ輸出の流れ
1.輸入規制の事前確認
輸出する貨物(商品)がタイの規制に該当していないか、輸出する際にタイで輸入の許可が必要かをあらかじめ確認します。輸出する商品に規制がある場合や、申請をしていない場合は税関の許可が下りず、没収や返送になる可能性があります。
2.輸入者と契約締結
輸出は国内の輸送とは異なり、商品が長距離を移動します。輸送中に商品の破損や事故に遭った場合に備えて、トラブルが発生したときの責任の所在を明確にすることと、保険をかけることが重要です。
主な輸出入形態
本船渡し(FOB:Free On Board )
輸出港で売主が貨物(商品)を積み込んだ時点で、所有権とリスクは売主から買主へ移転します。運賃・保険料、そのほかの費用はすべて買主が負担して、売主は輸出港までの船積みまでの責任と費用を負担します。
運賃保険料込み(CIF:Cost Insurance and Freight)
売主が指定された目的地までの費用、海上運賃、保険料を負担しますが、商品が輸出国の船上に積み込まれた時点で、所有権とリスクが買主に移転します。
運賃込み(C&F:Cost and Freight)
売主が輸出通関、本船積み込み費用、輸出地までの運賃を負担します。一方で貨物の所有権は本船に積み込まれた時点で買主に移り、保険も買主が負担します。
この形態は、航空貨物のように短時間で目的地に到着する場合に利用されます。貿易取引において輸出入の形態は重要なポイントなので、不測のない内容で契約することが大切です。
運送業者へ輸送・通関の手配
輸入者と契約した後は、運送会社へ輸送の手配をします。
運送方法は航空便と船便です。
航空便
通常は運送会社が商品を集荷して空港まで運びます。通関業者が輸出申告を行い、税関から輸出の許可が下りると、飛行機に載せられて現地に向けて飛び立ちます。
船便
通常は運送会社がコンテナを輸出者のもとに運び、輸出者がコンテナに商品を詰め込んだ後、運送会社が輸出港のコンテナヤードに運び込みます。通関業者が輸出申告を行い、税関から許可が下りた後、船に積み込み目的地に向けて出港します。
タイの輸入通関
タイに到着した商品は、タイの保税エリアに運び込まれ、運送会社が輸入申告を行います。この際に税関への申告を行い、輸入者が関税などを納付すると税関から輸入許可が下ります。
保税エリアから陸送された商品は輸入者のもとに運ばれます。輸入者は商品の検品を行い、輸送中の破損などがあった場合は運送会社と保険会社が対応にあたり、問題がなければ代金を決済して貿易の流れは終了します。
タイ輸出の書類
1.通関業者に依頼する場合
インボイス(仕入書)・パッキングリスト(梱包明細書)・シッピングインストラクション(輸送指示書)・委任状・その他法令による確認書類
2.自社で通関業務を行う場合
輸出申告書・インボイス(仕入書)・パッキングリスト(梱包明細書)・その他法令による確認書類
タイの輸入規制と輸入禁制品
タイでの輸入においては、輸入できない「輸入禁制品」と「輸入ライセンスが必要となる品物」があります。後者に該当する場合には、輸入ライセンスの取得および保険局からの輸出許可証明書の取得が必要です。
必要書類や規制事項を満たさない場合は、タイ税関で差し止め、没収、返送になる可能性があります。
また、青果物の輸入には保健省食品医薬品局、農業協同組合省農業局への事前手続きが必要です。
輸入が禁止されているものは例えば以下のようなものです。
植物の生果実
アセロラ、アボガド、オリーブ、クルミ、カシューナッツ、枇杷、イチジク属、クルミ属、サクラ属、ナシ属など
植物の地上部、地下部、生果実、種子などすべての部分
カカオ、キャッサバ、茶、トウモロコシ、パイナップル、パパイヤなど
その他
大豆、トウモロコシ属など
水産物
フグ全種類およびフグの身を含む成分の食品。
輸入禁制品ではないものの、キハダマグロとその製品は輸入制限品目で、東部熱帯太平洋におけるまき網漁で捕獲されたマグロでないことを、タイ農業協同組合省水産局に証明することが必要です。
このように、タイに輸出を行う場合には、輸出商品の規制の有無を確認した上で、優良なパートナーを見つけることが成功への道になります。
参考URL1:https://worldship-search.com/thailand-export/
参考URL2:https://fbmg.co.jp/global-media/overseas/post-629/
弊社が貴社の輸出をサポートします
タイに輸出する際には、輸出入手続きやタイ側の規制など調べることがたくさんあります。さらに、運送業者や通関、税関など多くの機関が関わりを持ち、その際に手続きのミスや商品の破損などが発生した場合はタイに受け入れられないことがあるので、信頼できるパートナーがいれば安心です。
弊社は、輸出拡大と日本の農業振興のため、2015年に日本からタイへの生野菜・果物の輸出と販売をスタートしました。これまで1,000本のコンテナを超える生鮮食品の輸出通関と、1,500本を超える航空輸送の輸出通関を処理した経験と知識があります。
青果物は特殊コンテナなどを使用して長時間鮮度を保ち、航空輸送ではコストを1/10に抑えることを可能にしました。また、輸出書類の専門家として、青果物に関するあらゆる書類の相談窓口として対応します。
さらに、タイにおいては、冷蔵で着荷した商品は最新の冷蔵倉庫に保管して、店頭に並ぶまで暑い外気に触れることはありません。また、検品結果をレポートにまとめて、問題があれば出荷時の改善策を提案しています。
このように弊社は、タイへの輸出を検討する方を、全面的にサポートいたします。
参考URL:https://allied-thai.co.jp/business/ad/marketresearch
まとめ
タイは日本とは関係が深い国で、タイ人の日本製品への購買力は高いため、輸出先として魅力的な国です。さらに、タイの日本食販売状況は、これまでの小売店やレストラン以外にも、フードデリバリーやEC市場の台頭により、さらなる拡大が予想されます。
それだけではなく、ASEANの中心に位置するタイへの輸出を足がかりにすることで、東南アジアの周辺諸国進出の可能性も秘めています。
このようにタイには魅力がたくさんありますが、タイへの輸出は煩雑で、難しい手続きや関税など煩わしいことも多々あります。また、食品は機械などと異なり品質の保持が難しく、劣化などにより損失が出る危険もあります。
そのため、タイへ輸出を検討している方は、現地事情に詳しい専門家に相談できれば安心です。弊社は、日本とタイでのフードビジネスに精通していますので、タイへの輸出を検討されている方は、ぜひ弊社までご相談ください。