タイは、経済や観光など東南アジアをリードする先進的な国際都市として成長を続けています。周辺国へのアクセスがよくASEANのハブといわれるタイは、たくさんの外国企業が進出している人気の国です。
このように魅力たっぷりのタイですが、初めて進出する時は、タイの国民やビジネスに適応できるか悩むのではないでしょうか。タイ進出には、タイ人の考え方や特徴などを理解することが大変重要です。
本記事では、タイ人の国民性やタイビジネスの基本情報について詳しく解説します。
タイ人の性格や特徴とは?
タイは国民の約95%が仏教徒であり、仏教はタイ社会に深い影響を与えています。そのため、仏教の教えが根差したタイ人は、家族やコミュニティを大切する温厚で優しい性格といわれています。
ここでは、タイ人と円滑なコミュニケーションをとるために、タイ人の性格や特徴についてご紹介します。
タイ人の性格の特徴
タイ人の多くは、仏教の教えに基づき、他者への思いやりや寛容さを大切にしています。
さらに、タイ人の国民性を表す言葉に「マイペンライ(大丈夫)」というものがあり、どんな状況でも前向きに対応しようとするのもタイ人の特徴です。
一方で、プライドが非常に高い国民性です。人前で叱られるとプライドを傷つけられたと考えるので、注意をする際には配慮が必要です。
タイ人の教育レベル
タイの大学進学率は、2023年のUNESCOの調査で46.18%と、ASEAN諸国ではシンガポールに次ぐ高さです。女性の大学進学率は日本を上回り、外国語教育に熱心で、英語や中国語、日本語をマスターしている大学生が多く、国際的なコミュニケーション能力に優れています。
タイ人と日本人の関係は?
タイは親日家の多い国として知られており、日本の文化や製品などに関心を持つ国民が多く、和食やファッション、アニメなども人気です。
さらに、日本文化や日本語教育のイベントの取り組みが積極的に行われており、日本を訪問する旅行者の増加も、タイ人が日本への関心を深める一因になっています。
タイ人にとってのタブー
タイには日本にはないタブーがありますので、タイで行動する際には注意しましょう。ここでは、タイ人にとってのタブーを紹介します。
1.日本人とは異なる宗教観
タイは敬けんな仏教国です。仏像など仏教関連のものへの不適切な扱いや、寺院など神聖な場所での不適切な服装や行動は避けなければなりません。
男性は長ズボンと靴を着用し、女性は肌の露出を避けた服がベストです。また、女性は仏像や僧侶に触れてはいけないとされており、決して触らないようにしましょう。
2.王室への言動
タイは王国で、国民の多くは王室に対する強い尊敬を持っています。そのため、王室の侮辱や中傷は不敬罪になる場合があります。
午前8時と午後6時には王室を敬う国歌が公共の場で流れるので、人々は国歌が終了するまでその場で立ち止まります。
近年では、街中で国歌が流れる場所自体が少なくなっており、以前ほどその光景を見る機会は減っていますが、タイの国民は王室に対する尊敬の念が強いので、王室に対する発言や言動には細心の注意が必要です。
参考URL1:https://www.global-marketing-labo.jp/country/?ca=3
参考URL2:https://portus.co.jp/article/a054/
タイビジネス社会の習慣をチェック

タイと日本とのビジネスの関係は深く、製造業を中心とした約5,500の日系企業がタイに進出しており、この数は中国の企業とともに世界ではトップクラスです。
これだけ多くの日系企業がタイに進出している理由は、タイは東南アジアの中心に位置し、ASEAN諸国やほかの地域の国へのアクセスがよいという地理的条件と、安価な人件費です。
さらに、東南アジア周辺国と比較してオペレーションとインフラのレベルが高く、多くの日系企業が進出しているため、事業のノウハウが蓄積されています。
このようなタイですが、日本と異なるビジネスの習慣やマナーが存在します。タイでビジネスを円滑に進めるには、これらを理解することが重要です。
ここでは、タイのビジネス社会で日本と異なる習慣やマナーをご紹介します。
タイ人の人間関係
1.タイ社会が育む穏やかな人間関係
タイ人社会は穏やかな人間関係を好む傾向があります。ビジネスの商談では意見をぶつけ合うのではなく、タイ人特有の、場の雰囲気を穏やかにするコミュニケーションのとり方をすることがあります。
日本人にとっては、本音がどこにあるのか分かりにくいと感じることもありますが、これもタイ人のコミュニケーションのとり方です。
2.上下関係や年配者に配慮する人間関係
タイでは、年齢や社会的地位の上位者に対して強い敬意を払う文化があるため、ビジネスにおいても同様の傾向があります。日本人は現地の社員などに接する際には、横柄な態度をとらないよう敬意を持って接しましょう。
タイ人との会議・商談でのマナー
1.緩めな時間感覚
タイでは、日本のように厳密な間感覚が重視されていません。ビジネスにおいても、商談時間に10~15分程度遅刻することがあります。タイ人はみんな時間にルーズなのではないか?と思いがちですが、すべてのタイ人に当てはまることではないので、タイ人との信頼関係を構築するには、事前のアポイントなどの時間は厳守しましょう。
2.挨拶は敬意を示す重要な所作
タイでは「ワイ」といわれる合掌で挨拶をするのが一般的です。ワイの方法は、両手をあごの高さに合わせて頭を少し下げます。ワイはタイのビジネスシーンでは重要な挨拶の所作です。
ワイの基本の仕方は、最も敬意を示す場合は眉間、目上の人には鼻、同格以下には胸の位置で手を合わせます。
3.会議では発言を急がせない
タイのビジネス社会では、上位者の意見を待つ傾向があるため、参加者が発言する場面が少なく感じることがあります。日本式のビジネスに慣れていると、意見が出てこず不安に感じるかもしれません。
また、タイでは会議に出席している担当者が、決裁権を持つ上位者の指示を待っていることや、慎重に考えていることがあります。そのような場合は、急いで意見を求めず、相手が安心して発言できるように雰囲気を保つことも大切です。
4.決裁の即答は求めない
タイのビジネス社会では上下関係が重視されるため、会議の場で担当者が即断して、上位者に対して決裁を求めるのはまれです。特に重要な案件の契約は、社内の合意を経てからでなければ決裁されないことが多くあります。
そのため返答が遅いと感じる場合がありますが、タイ側のペースを尊重して、丁寧なコミュニケーションを心がけることが大切です。
参考URL1:https://wisdom.nec.com/ja/business/2015091501/index.html
参考URL2:https://www.digima-japan.com/knowhow/thailand/d-globalbusiness-250325.php
タイの経済状況と消費者動向

タイは、シンガポールとともにASEAN諸国の中で先進国とされています。しかし、ミャンマーなどの周辺国に頼らなければならない労働力不足や高い輸出依存度、国民の高年齢化などの課題を抱えています。
このような中、現在のタイ経済の状況やタイ人の消費行動にも変化が見られます。
最新のタイ経済の状況
タイの経済は、農水産業、製造業、観光業などの主要産業に支えられています。ここでは、現在の産業の動向について解説します。
1.農水産業
タイは農水産業大国で、GDPの約10%を占めており、人口の約30%が従事しています。
主要産物は米、天然ゴム、キャッサバ(タピオカ)などで、中でも米はもっとも重要な輸出産物であり、天然ゴムの生産量は現在でも世界一を誇ります。
水産業でも、タイは世界有数の水産加工輸出国であり、主な輸出品目はカツオ、マグロ類、イワシ、サバなどです。中でもツナ缶は主要輸出品目です。
2.製造業
タイの製造業はGDPの約30%を占める主要産業で、主な製品は自動車、機械、電子機器などです。製造業の特徴は、製品はタイブランドではなく、外国企業が設立したタイの工場で製造されたものが、外国企業のブランドでタイ国内外に販売されているということです。
3.観光業
タイは、観光業がGDPの約20%を占める有数の観光立国です。主要な観光スポットは、ビーチリゾート、寺院などの文化遺産、タイのローカルフードなどです。
今後は観光客の増加を期待して、観光品質の向上のために政府が新たな観光スポットの開発やインフラ整備を進めています。
タイ経済の今後の課題
タイの産業では自動車、電子機器、農水産物などの産業が輸出に大きく依存して、経済を支えています。
しかし、輸出は為替レートやパンデミック、戦争などの影響により不安定になるリスクがあります。
一方で、国内では高齢化が進み労働力不足が深刻な問題になっているため、周辺国からの労働力の確保が課題となっています。
タイの主要産業の動向
タイの主要産業は、製造業、観光業を含めたサービス業などで、その中では自動車産業や電子機器産業などの製造業が中心です。
製造業は、世界経済の減速や家計債務の増加などの影響による国内消費の低迷、中国からのEV自動車の増加で、自動車産業が振るわない状況です。
観光業は、COVIT-19で大きな影響を受けたものの、その後観光客の増加により、宿泊、飲食、小売などが回復傾向にあります。
タイ人の消費行動とは?
ここ数年、タイでは急速にキャッシュレス化が進んでいます。タイはクレジットカードの保有率が低いため、スマートフォンで加盟店が提示するQRコードを自分のタイの銀行アプリで読み込み、金額を入力して支払うスタイルが定着しています。
キャッシュレス化の浸透により、FacebookやInstagramなどのSNS上での売買が活発化しています。食品や衣料品以外にも、自動車や住宅などの高額品も販売されているため、販売者はSNSを活用したB to Cの販売に力を入れています。
このように、タイはキャッシュレス化が進み、消費者の行動も変化しているため、タイビジネスでは、店舗販売以外にもSNSを活用した販売に力を入れる必要があります。
弊社が提供するサービス
弊社は、半世紀日本とタイで活動してきた実績をもとに、タイ支社と連携してさまざまなタイビジネス情報のご提供が可能です。
ここでは、具体的なサービスの内容を紹介します。
1.FACEBOOKを活用したプロモーション
弊社の、タイ人フォロワー約50万人を有するFacebookアカウント「Fan Japan Fun」でプロモーションやアンケート調査を実施します。
2.サンプリングの実施
タイ人顧客を対象に商品のサンプリングを実施して、アンケート結果をご報告します。
3.覆面調査
お客様の店舗やサービスを告知なく訪問し、依頼内容の調査を実施して、結果をご報告します。
4.グループインタビュー
お客様の商品やサービスの対象になる顧客を集めて、インタビュー形式でヒアリングを行い、結果をご報告します。
このようなプロモーションや調査を通して、購入や利用のきっかけをつくるためのご支援をいたします。
参考URL:https://www.digima-japan.com/knowhow/thailand/13324.php
まとめ

タイ市場進出に向けて、タイ人の性格や特徴、タイビジネスの習慣、タイ経済の現状を解説してきました。
親日家が多いタイは、ASEAN諸国の中では先進国で、古くから日本と親交があり日本の文化が深く浸透しているため、今後も日本企業の有望な進出先といえます。そのようなタイへの進出を成功に導くには、現地の調査をしっかりするとともに、現地で優良なパートナーを探すことが成功への近道です。
弊社は、日本とタイで長年活動してきた経験を生かして、タイへの輸出を検討している企業様をさまざまな面でサポートします。
